トップダウンのDX案件でのコンサルティングは終わりがない

数年前からDX、デジタルトランスフォーメーションがバズワードになっています。あのトヨタもデジタル化を進めるというトップからの強いメッセージが発信されています。そして多くの企業においてもいち早くDXを推進して競争に勝っていかなければならないという強い危機感があります。しかしIT業界の常として、バズワードが生まれては消え、生まれては消えを繰り返しています。10年前からクラウド、ビッグデータ、AI、IoTなどなど。これらのワードが生まれるたびに経営層から現場にトップダウンでの指示がおり少ない投資予算と人的リソースのなかでとにかくスピーディに進めることになります。

しかし現場レイヤでは既存システムの運用や、HW・SWのサポート切れに伴うマイグレーション案件などで予算と人的リソースが枯渇しています。そうしたなかで現場層のマネジメントは外部へ知見を求めて私たちITコンサルティングファームへお声がけをいただきます。当然私たちもビジネスですし、お声がけいただけば全力で支援をします。他社での先進事例や失敗事例の共有をしたうえでお客様の組織や文化に沿ったデジタルトランスフォーメーションのご提案をいたします。現場マネジメント層の方々もきれいごとだけで進まないのはご承知のうえで短期間でのコンサルティングをご発注いただき、私共が経営層、ミドルマネジメント層、現場層のご意見をヒアリング、可視化し、課題整理やTOBE策定などを進めていくのが定石です。

そしてぼんやりとした方向性などは見え始めてきますが、具体的な実行プロジェクトを進めるに際して「これが求めていたデジタルトランスフォーメーションなのか、これで競争力が上がるのか」といった禅問答がどこからともなく出てくるようになります。これはDXというバズワードがあいまいな言葉であり、また一人ひとり理解も異なるものであるためです。

コンサルとしては各人の意見整理につとめますが、多くの企業においてこの段階で「もう少し自社内で方向性を検討する」ということになって私たちコンサルはお役御免となります。その後自社でうまくいくこともあればいかないこともあるでしょう。しかしどちらの会社もその後は必ず同じで、また新たなバズワードが生まれた時に同じ行動を繰り返します。そして永遠にトランスフォーメーションすることなく投資を続けます。